Vitra

ヴィトラは1950年創業のスイスの家具メーカー。元々は店舗用の什器を製造・販売していたことから、その社名はフランス語で“ガラスのショーケース” を意味する「Vitrine」に由来しています。そんなVitraの家具メーカーとしての歴史は、創業者であるウィリー・フェルバウムがアメリカを旅した際に、チャールズ & レイ・イームズがデザインした三次元成形のプライウッドの椅子に魅せられたことから始まりました。その後、何度もイームズ夫妻のもとを訪ねて信頼関係を築いていったフェルバウムは、1957年、ついにヨーロッパでの製造販売権を取得し、本格的に家具の生産を開始したのです。 以来ヴィトラは、世界中の著名なデザイナーと強いパートナーシップを結んできました。ヴィトラでは、協働する全てのデザイナーを「authors」と呼び、互いの専門知識と技術を尽くすことで、デザイナーの才能を最大限に活かした製品の開発に取り組んでいます。これまで、デザイン史に残る名作を数多く世に送り出してきたヴィトラ。現在は新作家具の開発と並行し、ミッドセンチュリーの名作家具の復刻や、環境への配慮による既製品の改良にも力を注いでいます。ダイニングチェアやダイニングテーブル、ソファ、ワークチェアをはじめとするヴィトラの家具は、ホームからオフィス、学校などの公共施設まで幅広いシーンで親しまれており、ヴィトラは、世界で最も良く知られた家具メーカーのひとつへと発展を遂げています。 そんなヴィトラを語る上で欠かせない場所が、スイスの国境に程近い、ドイツのヴァイル・アム・ラインにあります。その名もヴィトラキャンパス。自然溢れる広大な敷地には、同社のオフィスやショールーム、膨大な数の家具コレクションを展示するヴィトラ デザインミュージアムなど、複数の施設が点在しています。各建築は、フランク・ゲーリーやジャン・プルーヴェ、ザハ・ハディド、バックミンスター・フラー、ヘルツォーク&ド・ムーロン、そして日本の建築家、安藤忠雄やSANAAなど、世界の名だたる建築家によって設計されたもの。ヴィトラキャンパスは、同社の家具はもちろん、モダンデザインや建築を愛する人々が多く訪れる、いわば聖地のような場所なのです。ヴィトラキャンパスには生産工場も併設されており、この地で生まれた家具は、今日も世界各地に届けられています。