Ode

渋谷区広尾に計画されたガストロノミーを提唱するフレンチレストラン”Ode”（オード）のオープンプロジェクトで、インターオフィスは家具を担当した。
抒情詩を意味する”Ode”という店名には、フランス料理に日本の伝統や美意識を紡ぎ合わせ、ストーリー（詩）として表現するというオーナーシェフの想いが込められている。

壁面と同様にモルタルを塗り込んで仕上げたエントランスの扉を開け中に一歩踏み入れると、そこにはOdeの世界が広がる。まず目に飛び込んでくるのがサービス用のカウンターと店内で使用するグラス等を収納するための壁面什器。
壁面什器格段に配したライン照明の光がワイングラスなどに反射して妖艶な世界を演出している。
グレーの色調で統一されたタイルやモルタル、それに木などの素材を配した店内には、13席のオープンカウンターに加えオープンキッチンを望むことが出来る6席の半個室と4席の個室を設けた。
オープンカウンターに座ったお客様とオープンキッチン内に立つスタッフ双方の目線の位置を程よい高さにするために、床の高さを建物のフロアレベルから300mm程度上げているが、一般的なテナントビルであるこの建物の階高は低く、床を上げた上に梁下に合わせて平滑に天井を張ってしまうと、CHが2200mm程度しか確保できない。一方で、耐火被覆で覆われた鉄骨の梁の見た目は悪く天井で覆う必要もある。そこで、梁下が一番低くなるようには様々な色調や傾きを持った天井を配することによって、梁を隠しつつもレストランの客席として必要な高さを確保した空間を実現した。
軒下のような空間によって日本建築特有の美しさを表現すると同時に、異なる要素を紡ぎ合わせ一つのストーリー（詩）として仕立てるというOdeの世界観を体現させた。